初版発行から13年――。宇宙産業とりわけ人工衛星に関わる状況は一変した。当時もてはやされた「はやぶさ」や「かぐや」などの科学衛星に代わり、現在は、地球観測や測位・通信といった実用衛星に重きが置かれている。製作も1機ずつ作り込んでいたものから、衛星コンステレーションのように多数機でミッションをカバーするというのが世界の潮流だ。
どうやって宇宙に届けられるの?/どこで作られる?/なぜ色は黒か金色なの…など誰もが抱く素朴な疑問に答えるという前作からのコンセプトはそのまま、日本だけでなく世界的な視野から最新の話題を盛り込む。
国際的な競争が激化する中で、宇宙産業を次世代の基幹産業に育てようという政府の指針もあり、官民挙げて多くの人の関心が宇宙に向かっている。宇宙開発とその利用について最新知識が身につく本。
序章 日本の科学技術の“粋”を結集した人工衛星
なぜ人工衛星の存在が「社会インフラの1つ」といわれるのか、ほか
1章 どうやって宇宙に届けられ所定の位置に至るのか
打ち上げる方向が「静止衛星は東、極軌道衛星は南」という理由、ほか
2章 人工衛星は、どこで、どのように、作られているの?
意外!?人工衛星の製造現場で「ミシン」が使われている! ほか
3章 宇宙空間で働く人工衛星の“仕事”とは?
地下に眠る資源をどうして宇宙から発見できるの? ほか
4章 人工衛星の軌道には誰も知らない秘密があった!
どれくらいのスピードで人工衛星は飛んでいるのか ほか
5章 人々の期待に応える技術者の想像力とは?
トラブルが発生したら人工衛星自身で判断できるの? ほか
6章 人工衛星はどこまで進化するのか
人工衛星は宇宙デブリからどうやって身を守るのか ほか
NEC「人工衛星のなぜを科学する」製作委員会
日本電気株式会社(本社 東京都港区)は、1899年に創業以来、通信技術を核に情報技術、エレクトロニクスの分野で先駆的な製品やソリューションを提供してきたわが国を代表する企業で、NEC(エヌ・イー・シー)の愛称で親しまれている。
宇宙開発・利用への取組みも先駆的だ。1956年にペンシルロケット用テレメトリ送受信装置を東京大学生産技術研究所へ納入したのを皮切りに、日米間で行なった世界初のTV画像の衛星通信実験や、東京オリンピックの衛星中継にも参画し、その後の衛星通信の世界的普及にも貢献した。人工衛星の開発では、我が国初の人工衛星「おおすみ」に始まり、日本中の話題をさらった「はやぶさ」シリーズや能登半島地震の被災状況把握に活躍した「ASNARO-2」など、これまでに80機以上の実績がある。宇宙空間の利用でも、準天頂衛星「みちびき」を介した衛星測位信号や災害危機情報の配信、被災地域の安否情報の収集サービスで社会の安全・安心などを支えている。
「人工衛星のなぜを科学する」製作委員会は、約10年前に刊行された書籍の改訂を目的に、関係会社を含め、設計から製造・販売まで、あらゆる分野のエキスパートを結集。情報提供、原稿作成支援・レビューなどに45人以上が携わった。
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