部下をひきつける上司の会話術

 

■著者/佐藤英郎

■本体価格/1400円

■発 行 2003年5月

■ISBN   ISBN978-4-86059-016-1

■判 型 四六判

■ページ 232ページ 

 


下記書店よりインターネットで購入することができます



「はじめに」より

 本書のテーマは「部下の能力を引き出し、部下をやる気にさせ、部下を育てるためには、どのような話し方が必要なのか」という問いに答えるものである。 上司とは、部下を使って仕事をする人のことである。すなわち、部下の能力ややる気を引き出し、組織目標を達成することが上司の仕事なのである。 私は人材教育トレーナーのコンサルタントとして、毎月200人から300人の方にお会いする。その中で、部下を育てなければという危機感や、部下を育てたいという強い思いを持ちながら、なかなか部下を育てられないという悩みを持つ管理職が多い。彼らに共通しているのは、部下教育についての必要性は認めながら、部下とのコミュニケーションについては、ほとんど関心がないか、あったとしても学んでいないということである。あまりに当たり前のことなので、ことさら重要視していないのである。 しかし、部下の教育は、そのほとんどが部下とのコミュニケーションを通じて行われる。同じ上司の一言であっても、部下はやる気になったり、やる気がなくなったりするものである。だから、部下の教育という上司の大切な仕事の中で、コミュニケーション・スキルを学ぶということは、管理職にとって不可欠なものなのである。 当然ながら、この場合のスキルは、一般的なコミュニケーションのためのものとは異なり、「部下を育てる」という視点からのものでなければならない。この違いを知っておく必要がある。 本書は、部下の能力を引き出し、やる気にさせ、育てるためのコミュニケーションの考え方、ポイント、コツを、さまざまな実例を通して明らかにしてある。 とくに今日のように経済的に厳しい時代にあっては、部下のモチベーションは下がり気味だ。そんな中で、部下を育成してゆくためには、上司の側での一層の学びが必要になる。 部下は上司を選ぶことができない。人を育てることが上手な上司にめぐり会った部下は幸せである。その幸せは、部下本人にとってだけでなく、会社にとっても、また、その部下の家族にとっても幸せである。 本書を通じて、部下を育成するためのコミュニケーション・スキルを学んでいただき、あなたの部下を、今まで以上に効果的に育ててくださったら、筆者として、このうえない喜びである。 本書が、部下を育てようと日々頑張っておられる多くの管理職の方に、また、人を育てる役割を担っている多くのリーダーの方のお役に立つことを願っている。

 


▶︎もくじより

部下を持ったら言葉にこだわり、話し方を工夫する。

1章 上司ならではの話し方を身につける

 1会話の目的を明確に持つ

  ▼部下に何を伝えるのかという意識を持ち、それにふさわしい方法を探る

 2「わからせる」「理解させる」責任は上司にある

  ▼「なぜわからないんだ」と責めるのではなく、どうしたらわかるか対応を考える

 3「事実」と「解釈」とを混同しない

  ▼事実は誤らないが、解釈は間違うこともある

 4言葉ではなく想いを伝えよう

  ▼上辺だけの言葉では意図することが通じない

 5自分の成功のためだけに話さない

  ▼部下の成功になる話が自分の成功につながる

 

2章 人から好感をもたれる話し方の習慣

 1たかが「挨拶」というなかれ

  ▼人間関係と信頼関係を作り出す最初にして最大の武器になる

 2「ほめ上手」は育て上手

  ▼人の長所を見出しほめるのはリーダーに不可欠な能力

 3咄嗟の「ありがとう」を忘れない

  ▼部下に感謝する上司は、部下からも感謝される

 4会社の悪口やグチは言わない

  ▼悪口を言うのはわが身の恥をさらすようなもの。必ず見くびられる

 5自慢話は人を遠ざける

  ▼昨日のホームランでは今日の試合に勝てない

 

3章 部下をやる気にさせる話し方

 1今こそビジョンを語れ!

  ▼部下の目を未来に向けさせれば意識と行動は大きく変わる

 2質問の仕方を工夫する

  ▼考え、気づかせるプロセスこそが部下を鍛える

 3話す前に聞くことを学ぶ

  ▼四の五の言う前に、まず部下の話に耳を傾ける

 4自分の失敗談をあえて話す

  ▼失敗談は聞く人を惹きつけ、勇気づける

 5部下の「行動パターン別」説得法

  ▼四つの分類にもとづいた話し方で、こちらの意図を伝える

 6言葉だけでなく身体で話す

  ▼しぐさ・動作・表情にも配慮を怠らない

 

4章 認め、ほめるときの話し方

 1「 ほめる」ことのすごい力

  ▼時には人の人生を変えるだけのパワーを持つ

 2部下を叱って半人前、ほめてやっと一人前

  ▼人をほめるには相手に関心を持ち、長所に気づく能力が必要だ

 3やる気のない部下をやる気にさせるには

  ▼部下の可能性を信じ、言葉をかけ、態度でも示す

 4ほめるところのない部下のほめ方

  ▼成果だけでなく、プロセスや成長をほめてやろう

 5実績のある年上の部下との接し方

  ▼部下でいてくれることに感謝し、相談やお願いごとを持ちかける

 6メッセージを効果的に伝える工夫

  ▼部下の心にストレートに響き、やる気を引き出す伝え方とは

 7 とっておきの「ほめ言葉」

  ▼その時々で部下の心をとらえた短くもインパクトのある事例集

 

5章 叱り、注意するときの話し方

 1信念を持って叱る

  ▼必要なときに部下を叱るのは上司としての義務

 2感情的になることを恐れるな!

  ▼むしろ叱るタイミングを逃すことこそ問題だ

 3“本気”で“カラッ”と“手短”に

  ▼くどくど叱るのは部下のやる気をなくし、傷つけるだけ

 4こんな叱り方では部下の信頼を失う

  ▼部下の成長に役立つものでないと、逆にさまざまなトラブルを招く

 5耳を素直に傾けさせるにはコツがいる

  ▼自尊心を傷つけない。ただし、言うべきことはキチンと伝える

 6部下への愛情と自覚を促す「叱り方」

  ▼言われた部下が素直に頭を垂れる言葉の事例集

 

6章 会議をコントロールする話し方

 1必ず成果を出す会議の開き方

  ▼無意味、無駄、無反応をなくすための三条件

 2会議で自分の意見を通す方法

  ▼深層心理、後光効果、話し方の演出を使い分ける

 3論理的な話し方を身につける

  ▼相手を説得するには「逆三角形型」の話し方をする

 4会議で窮地に陥ったときの対処法

  ▼大切なことは冷静になり、逃げないで誠実に対応すること

 5困った参加者の扱い方

  ▼会議の進行のためには、時には毅然とした態度も必要になる

 

7章 大勢の部下の前での話し方

 1 わかりやすく、簡潔に、印象深く

  ▼あなたの言葉が正確に「伝わる」ために必要なこと

 2大勢の部下を納得させる話し方

  ▼理屈ではなく感情への働きかけが必要になる

 3部下の意識を鼓舞する話し方

  ▼部下の行っていることを承認すること、魅力的な未来を見せること

 4 部下に感動を伝える話し方

  ▼心からの感謝の気持ちは、相手の心に感動となって伝わる


著者略歴

佐藤英郎(さとう えいろう)

1950年生まれ。 北海道出身。

明治大学法学部卒業後、同大学法制研究所を経て、研修コンサルタント事業に20年携わる。

個人と組織の変革を目的として、1993年(株)創造交流を設立。現在、代表取締役。

電通、キリンビール、ネスレグループをはじめとする大中小200社での研修実績を持つ。特に「人づくり」に情熱を燃やし、リーダーシップ理論、ビジネスコーチング、Disc理論などを組み合わせたその卓越した指導内容は多くの企業の信頼を得ている。さらに、各地での公開研修を実施。その受講生は8万人にのぼる。

米国インスケープパブリッシング社認定Discマスタートレーナー、国際TA協会正会員、全国能率連盟認定マスター・マネジメント・コンサルタント。

著書に『気づく人、気づかぬ人』(学習研究社)がある。