パナソニックがSANYOを買収する本当の理由

■著者/荻 正道

■本体価格/1800円

■発 行 2009年12月

■ISBN  ISBN978-4-86059-079-6

■判 型 四六判

■ページ 376ページ

 



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投下資本5000億円、骨肉のM&Aは成功するのか!?

パナソニックによる三洋電機のTOBを題材にして、両社の創業時代からの奇しき因縁を紐解き、松下幸之助の知られざる経営スタイルを解析する。内側から見た「骨肉ともいえるM&A」の真相をさぐるノンフィクション大作。

 

▶︎もくじより

プロローグ なぜパナソニックは三洋電機買収に先駆け社名を変更したのか

1章 パナソニックと三洋電機の創業家に見る “骨肉の交わり”

資金も学歴もない

丁稚奉公の幸之助を支えた

井植家の存在

 

 “若大将”井植歳男が現場をまとめ

松下幸之助を

カリスマに仕立て上げていく

 

軍需生産協力がもたらした

技術力の向上と

歳男独立の萌芽

 

幸之助の予想より格段に早く

松下の好敵手として立ちはだかる

サンヨーブランド

 

2章 企業経営に甚大な影響を及ぼした創業家の世襲問題

過激な組合活動により

大躍進にブレーキがかかった三洋電機と

これをうまく封じ込めた松下電器

 

販売不振回復を図る熱海会議は大紛糾。

危機を見逃した正治に代わり

幸之助が第一線に返り咲く

 

世襲など考えもしなかった幸之助と

会社をまとめるためには

血筋に頼らざるを得なかった三洋電機

 

 

3章 飛躍への礎になるとともに混乱をも招いた幸之助流M&A

大が小を吞み込むときでも

他社から学ぶという謙虚さと貪欲さが

幸之助のM&Aを成功に導いた

 

M&Aの眼目は「人」にあり!

優秀な人材が居るにこしたことはないが

常識的な能力の社員が揃っていれば「買い」だ!

 

一社一社のM&Aは成功しつつも

グループとしては戦略も役割もない

複雑怪奇な企業集団へ

 

4章 幸之助流の経営手法としがらみに終止符を打った中村邦夫の改革

赤字額4310億円!

長期低落を続ける松下の社長に

「破壊と創造」を掲げた中村邦夫が就任

 

松下がV字回復を果たした陰に

「EVA」による評価指標を受容する

企業風土があった

 

「骨肉のM&A」の正体は

社内課題の解消という

内向きの投資に他ならない

 

5章 「ナショナル」から「パナソニック」へーー。企業の存在意義が問われたブランド変更

販売を他社に委ねてはいけないーー。

“煮え湯”を飲まされた幸之助が

販売のプロから学んだ経営哲学

 

企業ブランド「ナショナル」の誕生から

「パナソニック」への移行が

社内でスムーズに進んだ理由

 

「松下電器」が

「松下」も「ナショナル」も捨て

パナソニック統一に至る道

 

6章 中村改革を経ても戦略喪失症候群は改善せず

カリスマ幸之助の

“直感的”経営の

すごさ、欠点、そして今日的意味

 

総花路線が定着する中で

経営改革に狼煙を上げた

山下俊彦の登場と挫折

 

「人」から「組織」へ重点を移した

中村改革の圧倒的な成功と

不祥事で知った意外な限界

 

7章 世襲経営家、井植敏が残した光と影

海外進出と新規分野の

成長戦略が見事に結実!

“戦略家”井植敏が残した実績

 

好業績は一般消費者の目につきにくい分野。

「サンヨー」ブランドの希薄化が

敏の焦燥感を募らせていく

 

経営環境の悪化は挽回できず。

ジャーナリスト出身のCEOも辞任し、

三洋電機は金融会社の支配下に

 

創業家に関わる事業の生い立ちと

これが“表”の事業に及ぼした悪影響、

やがて整理されるまで

 

エピローグ 5000億円を無駄にしないためにパナソニックが三洋電機から学ぶこと

あとがき

 

パナソニック、三洋電機 年表

 

参考文献

 

 

 

カバー装幀/石田嘉弘

本文コラージュ/中山隆右

本文DTP/ダーツ

 

 


著者略歴

荻 正道(おぎ まさみち)

 

1948年、京都市生まれ。経営ジャーナリスト。評論家。

通信機器メーカーに在籍し経営企画業務のキャリアを積んだあと、業界団体の役員に就任。その後、独立し、『フォーブス』等の経営誌で執筆活動を開始する。とくにエレクトロニクス業界に多くの人脈を持ち、内情に詳しい。

主な著書に『ソニーが危ない!』『なぜ、ホンダが勝ち、ソニーは負けたのか?』『松下電器混迷の真相』(以上、いずれも彩図社)がある。